絵の具のように、色材の3原色(マゼンタ、イエロー、シアン)を混ぜ合わせると、あらゆる色がつくりだせますしかし、混ぜれば混ぜるほど色が濁り、グレーに近づきます。
すべての色を混ぜても、また補色どうしを混ぜてもできるのはグレー。まさにグレーはすべての混沌を包み込んだ奥深い色といえます。
12月は1年の締めくくりにふさわしい「グレー」についての話です。
心を映し出す色。
グレーは白と黒の間を結ぶ無限の階調。その無限の階調だけで構成されているのがモノクローム映画やモノクローム写真。無彩色なのに、とても表現力が豊かです。逆に考えれば、無彩色だからこそ想像力をかき立てるのかもしれません。見る人の心の色を映し出しているともいえる色、それがグレーです。
すべての色の母。
グレーはどんな色をも際立たせる効果を持っています。インテリアのどんなに強い色でも、グレーと合わせると調和がとれ、上品さを損なうことがありません。それは、グレーにはすべての色相が含まれているから。グレーは、どんな色をもやさしく受けとめてくれる、いわば“すべての色の母”といえる存在です。
内に秘めた美しさグレー。
グレーにメタリックな輝きを加えると銀色になります。シルバーといえば、クリスマスプレゼントの定番。金がもつ華やかさや権力といった現実的なイメージとは違い、銀にはどこか控えめで内に秘めた美しさを求めるイメージがあります。