社員旅行

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人づきあいが苦手な若手社員が増える中、社内のコミュニケーション不足を解消しようと、「社員旅行」が見直されている。とはいえ、かつてのような温泉旅館でコテコテの大宴会というのでは今や誰もついてこない。
都内の高級ホテルの大広間。テーブルにはデキャンタに移し替えられた数本のワイン。「この銘柄の産地は?」「味わいを表現すると?」。参加者は真剣な面持ちでテイスティングし、味や香りを確かめる。
一見ワインのコンテストか何かのようだが、実は都内の金属加工会社、フルヤ金属が各地の工場・営業所員ら約150人を集めて開いた社員旅行なのだ。昼間にワインの基礎を学ぶセミナー、夜はテイスティング大会。豪華賞品をかけて、テーブルごとの団体戦で行われた大会は大いに盛り上がった。
参加した男性社員は「大人っぽい雰囲気がいいですね。いつもは宴会でどんちゃん騒ぎですが、これは全然違った感じで楽しめます」と話していた。
企画したJTB首都圏の法人営業課、奥野晃治さんは「マンネリ化した社員旅行では『今更行きたくない』と参加率が落ちがち。いまはオリジナルの提案と、特別な感動が必要です」と話す。
ここ数年、各旅行代理店とも、社員旅行のオプション企画を増やす傾向にあるという。JTBでも4月から、定番の焼き物、ソバ打ち、果物狩りなどに加え、ラフティングやパラグライダー、地曳網体験、着物の着付けもできる京都の町家体験、お茶屋体験、東京・横浜のヘリクルージングなど、100種類以上の体験プログラムを用意している。
1泊2日旅行の2日目にいくつかのオプション企画を用意し、参加者に選んでもらうというケースが多いです。≪デラックス志向≫日本旅行が平成17年に行った社員旅行の意識調査では、「リッチでなかなかできない旅行なら参加したい」▽「派手に海外旅行に行きたい」▽「テーマパーク中心の旅行なら行きたい」-といった参加者の本音が挙がった。
一方、近畿日本ツーリストのECC事業本部カンパニー、池田幸二さんは「旅行の行き先を選べる社員旅行を計画する会社が年々増えている」と話す。旅行可能な期間を区切って、沖縄・北海道・グアム・ハワイといった選択肢から好きな場所を選び、仲の良い同僚や家族と旅行する。無論、行き先次第で費用は異なるため、あらかじめ会社の補助金額を決めておき、不足分は自己負担となるシステムだ。
社員旅行に対するイメージも、“おつきあい”から“楽しめる”へと徐々に変わってきています。

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