9月は紫Ⅱ

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紫は古今東西高貴な色として尊ばれてきました。英国では“born in the purple”(貴族)と言われる様に、紫は高貴で身分の高い特別な人の色となっています。日本でも紫は高位の色です。
聖徳太子が定めた「官位十二階制度」は、紫、青、赤、黄、白、黒の6色各々の濃淡で12階の序列ができており、紫が最高位の冠色となっていました。カラーシステムで区別ができていたなんて驚きですよね。
現代でも“紫綬褒章”、“相撲の紫の軍配”、“紫紺の優勝旗”、“紫の袱紗”など、一番や高級感を演出する時には紫が使われることが多いようです。紫が高貴な色とされる理由の一つは、紫色に染める自然染料の小さな貝や草の根が入手しにくかったためだとされています。
紫と言えば思い浮かぶものに「源氏物語」があります。作者はいわずと知れた紫式部。
「いずれのおん時にか…」で始まるこの物語は、華麗な宮廷生活を情感あふれる文章で綴った、世界に誇る文学作品です。この中に60余りの色が出てきますが、なんと言っても“紫”。
主人公である光源氏に絡む女性たちは、「桐壷の更衣」、「藤壷」、「葵の上」、「若紫(成長して紫の上)」と、いずれも紫色にゆかりのある名前で登場します。ちなみに紫は、「ゆかりのいろ」と呼ばれ、人の世の不思議なえにしを象徴するものとされます。
気高く美しい女性達のはかない運命を、“むらさき”に絡ませることで表現されています。

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