ワビ・サビ

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ワビ・サビの境地を表した「わら屋に名馬つなぎたるがよし」という言葉があるそうです。茶道の初祖である珠光が「わび・さび」というのはどういうものかを述べた言葉だそうです。
普通、名馬がある武家の屋敷の厩(うまや)はわら屋ではなく瓦が葺いてあったそうです。しかし珠光は「わら屋に名馬つなぎたるがよし」と言っているのです。
これは何を言いたいのかというと、今は武家として立派な屋敷に住んでおり、瓦が葺いてある厩に名馬をつないでいたとしても、やがて落ちぶれて屋敷を手放し、藁屋に名馬をつなぐようになりうることもある。そうなった時に、昔はよかった、立派な屋敷に住んで瓦の葺いた厩に名馬をつないだものだ、と思いかえしてしまいます。
しかし、昔に戻りたいものだなぁ、などとクヨクヨせずに、人生は、もともと不如意なものであり、自分の思い通りにはならないものだと思い、不平不満を言わずに、「あるがまま」「そのまま」でいいと覚悟することが大切である。自分が置かれている現実をしっかりと肯定することが、ワビ・サビいうものである。ということを言っているのだそうです。
そもそも、思い通りにしよう、などと考えるのは人間だけではないでしょうか。犬にしろ、猫にしろ、雀にしろ、鳥にしろ、生きとし生けるものすべては、思い通りにしようなどとは考えません。ただ生きている、生かされているのではないでしょうか。
「色即是空」。思い通りにしようとすれば、いろいろなストレスが発生します。これが「色」です。
しかし、そのようなストレスは人間が勝手に抱えているものであり、だれがどんなストレスを抱えようと抱えまいと、そのことに関係なく、朝になれば日が昇り、夕方には日が暮れ、夜になれば月が輝くように、毎日が同じように過ぎていくのではないでしょうか。

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