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桜もまたすぐに散ります。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
お馴染みの名文句で幕を開ける「平家物語」は、800年前の京都を舞台に繰り広げられた、まさに、栄枯盛衰の物語です。
平家物語は、「生者必滅」と、各々が持って生まれた「運命」をテーマとしています。源平の武者のみならず、老いも若きも・帝から遊女まで、様々な人々が、人の力を以てしては抗い切れない、この2つの理に翻弄されて、藻掻き苦しむ人間模様が描かれています。また、2つの理は、何時の時代にも共通する永遠のテーマであり、読む人の心を引きつけて止まない、不思議な魅力の一つとなっています。
「生者必滅」と言う言葉は、この世に生存する総ての者は、何時かは必ず滅びるという事を意味しています。作者の信濃前司行長が、これを「盛者必衰」に替えたのは、平家一門の盛衰を意識して、変更したものとも言われています。
今抱えている、喜び・怒り・哀しみ・楽しみ、これら総てが、この言葉と同じなのです。どんな大きな喜びも、又、哀しみも、そして、今ここに生きている貴方さえも、時の流れと共に、やがては、消えゆく運命にあります。
毎年、桜の花を見るたびに、いつもこの言葉を思い出します。

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